3K(急加速、急発進、急ブレーキ)
3Kは百害あって一理なしです。
レースの世界では当たり前ですが、これを公道でする人たちがいます。
急加速は燃費効率を悪くし、急発進はスリップによってタイヤをすり減らし、
急ブレーキは追突事故を招きます。
緩急をつけない運転が安全運転のコツです。
制動距離と速度の関係
タイヤが急ブレーキでスキール音(キキキー!という音)を出している時、
タイヤは回転がとまっています。
この状態を、”タイヤがロックした”といいます。
動摩擦力と最大静止摩擦力では、動摩擦力が弱いので、
タイヤがロックするギリギリの強さで急ブレーキをかけると、
最も短い制動距離になります。
また、タイヤのロックを自動的に察知し、ブレーキを弱めるシステムがABS(
アンチロックブレーキングシステム)です。
どんなに良いブレーキでも常に最大静止摩擦力で減速する等加速度運動ですので、
制動距離は速度の2乗に比例することがわかると思います。
速度を2倍にすると、ブレーキをかけてから停止するまでの時間は2倍ですが、
距離は4倍になってしまう事も意識して、制限速度を守りましょう。
追い抜き、追い越しは無意味
ある研究結果で、とても興味深いデータがありました。
東京から名古屋までの道を、二台の車が競争します。
一台は出来るだけ追い抜き、追い越しをして目的地まで暴走します。
あとの一台は制限速度をまもり、追い抜き、
追い越しを一切せずに目的地まで走行します。
その結果、暴走した方は制限速度を守った方より10kmあたり数秒しか速く走れ
なかったそうです。
車間距離
あおり運転(後ろから接近してプレッシャーを与えること)と
スリップストリームは紙一重です。
よく、空気抵抗を減らすため(?)後ろにぴったりくっついて走る人がいます。
確かに空気抵抗がへり(これをスリップストリームといいます)、
効率の良い走り方ですが、大変危険です。
車間距離は制動距離と同じぐらいとりましょう。
葬式などのフォーマルな場も考えて…
実用性を考えてワゴンや軽自動車、RVといったものが流行していますが、
さすがにフォーマルな用事には向きません。
最もバランスが良いのはセダンやクーペです。
セダン……4ドア・4〜6人乗り。箱形、最も一般的な形式。
クーペ……2ドア・4〜6人乗り。室内の前後長が短い箱形乗用車。
GT(グランツーリスモ)……長距離を高速で走行するための高性能乗用車。
幅、全長、最小転回半径
狭い道が多い日本では、小型で小回りのきく車が適しています。
最小転回半径は幅と全長(ホイールベース)が短いほど小さくなります。
幅や全長には規格があり、排気量やナンバーに影響します。
ワゴンRなどの軽自動車は全幅140cm、全長3.3mにも満たないのですが、
カローラ等のセダンは全幅170cm、全長4.5m近くあります。
外観と性能
車はやはり見た目も重要です。
流行のファッション(本来、ファッション=流行なんですが)同様、
自動車産業も外観を売りに企画を立てたりします。
ボディの塗装はフレームやプレスを錆から守るだけではなく、
やはりヴィジュアルもキープする効果があると言えます。
また、外観だけでなく性能も重視するべきです。
スーパーカーの代名詞とも言えるランボルギーニ・カウンタック(countach)は、
余りにもアヴァンギャルドな外観と、
最高速度295km/hという驚異的な性能の良さで、
一大センセーションを巻き起こしました。
同じ価格と用途なら、外観と性能で選ぶべきです。
MTかATか
トランスミッションの選択は、車選びでとても重要です。
現在ではAT車のみの運転免許もあるため、
せっかく買ったのに運転できないなんてこともあります。
ATとMTでは、同じ車種でも値段が若干変わります。
MTの方がATよりも安く、
近年生産されている自動車の98%以上がATといわれています。
ATの方が簡単で便利ですが、駆動がしっかりと伝わりにくいので、
燃費が悪いという欠点もあります。
MTは多少の面倒臭さはありますが、
車の運転が楽しいと感じる人もいるので(自分もそうです)お勧めです。
燃費効率
車は燃料を燃やし、その熱エネルギーを本体の運動エネルギーに変換する機械です。
動力はエンジンによって発生します。
エンジンの性質にも依りますが、
だいたい3000回転〜5000回転のとき(最大トルク回転数近傍)、出力に対する燃料消費量は最も低く抑えられるそうです。
そして、回転数と馬力、トルクの関係をグラフで表すと以下のようになります。
エンジンに依りますが、だいたい5000回転で最大トルクを発揮し、6000回転で
最高出力を発生します。
タイヤとミッション
タイヤは、シャフトの回転を地面に伝え、その反作用によって車体を加減速させるための部品です。
路面との接地面積が大きければ大きいほど、強大な摩擦力が働きます。
ただし、接地面積が大きすぎると走行抵抗が増大し、燃費効率が悪化します。
リム径が大きすぎると転がり抵抗が増え、幅が広すぎると旋回時の抵抗が増えます。
トランスミッションとは変速機のことです。
エンジンと最終駆動ギアにモーメント差を作り、効率的に加速するための機構です。
理論上はギアが無限段あった方がいいのですが、重量を減らすことも考えるため、通常は5段MTか4段ATです。
常に最大トルクを発揮するようにギア比を調節されたミッションを、
クロスミッションといいます。大概が6段MTとなっています。
エンジン
熱膨張によってピストンを媒介して駆動力に変換するエンジンを、レシプロサイクルエンジンといいます。
まず、4サイクルレシプロガソリンエンジンの仕組みを軽く説明します。
エンジンにはいくつかのシリンダー(気筒)があり、その内部でガソリンを燃焼させ、
その膨張を運動エネルギーに変換します。
各シリンダーには、吸気バルブ、排気バルブ、点火プラグ(イグニッション)があり、それぞれ役割があります。
最近では2吸気2排気の4バルブになっています。
まず、シリンダのピストンが下がり、空間ができます。
そこに、吸気バルブからガソリンと空気の混合気体が吸入されます。
そして、ピストンが上がり、混合気体が約1/10に圧縮されます。
点火プラグで気体を燃焼させ、急激に膨張した気体がピストンを押し下げます。
ピストンの先は円運動をするので、
膨張の勢いでまたピストンが押し上げられます。
この時に排気バルブを解放し、燃えた気体を排気します。
以上が4サイクルレシプロエンジンのプロセスです。
ピストンの先にはクランクシャフトが接続されており、上下運動を円運動に変換することができます。
ディーゼルエンジン
点火プラグを使用せず、気体のさらなる圧縮によって温度を上昇させ、
自然発火を起こさせるエンジンをディーゼルエンジンといいます。
言い換えると、イグニッションが無いエンジンです。
PV=nRT
という公式を覚えているでしょうか?
”気体を圧縮すると温度があがる”ことを表しており、
気体を約1/20ぐらいに圧縮すると軽油は自然発火を起こします。
圧縮比が高いほど強い爆発が起こるため、
燃費効率がよく、トルクがあります。高回転には不向きなため、馬力が出しにくい。
また、エンジンに強い負担がかかるので、
頑丈なシリンダーにする必要があります。
駆動形式
駆動形式には以下のようなものがあります。
FR(Front engine Rear drive)
フロントにエンジンがあり、後輪を駆動させる形式。
車は加速すると、後輪に荷重が移動します。
トラクション(摩擦力)は下に押さえつける力(ダウンフォース)に比例するので、
前にエンジンがあるにもかかわらず、加速が速い。
かつてはほとんどの大衆車がこの形式だった。
挙動:
曲がりやすく、加速が速い。
良く言えば曲がりやすい。悪く言えばまっすぐ進まない。
スピンしやすいが、コーナーリングには強い。
FF(Front engine Front drive)
フロントにエンジンがあり、前輪を駆動させる形式。
フランスのメーカー、”シトロエン”が世界で初の前輪駆動を採用した。
急激な加速には向かないものの、
直進安定性は後輪駆動や四輪駆動よりも優れている。
あまりスポーツ向きではなく、
パワーの弱い車がエンジンの重量を利用して
トラクションを稼ぐためにとる形式。
挙動:
曲がりにくく、加速が遅い。
良く言えばスピンしにくい。悪く言えば曲がりにくい。
スポーツ向きではない。
MR(Midship engine Rear drive)
後部座席にエンジンがあり、後輪を駆動させる形式。
エンジンをミッドシップにする事で旋回モーメントを小さくし、
四輪に均等に荷重をかけることができ、
FRよりもブレーキが効く。
レーシング向きではあるが、後部座席がないのでとても実用的とは言い難い。
挙動:
FRと同じぐらい曲がりやすく、ミッドシップなので後輪の荷重が高いため、
加速が速い。また、ブレーキがとても効く。
F-1などもこのMR形式をとっている。
ただし、後部座席を犠牲にする。
4WD(Four Wheel Drive)
4つの車輪を駆動させるので、4WDという。
FRの加速性能を上回り、直進性も高い。
最近の4WDはFFよりも曲がりやすく、オフロードにとても強い。
スカイラインGTも4WD
挙動:
本来はFFよりもやや曲がりにくいが、加速はとても速い。
FFとFRの良いところを取ったような挙動。
オフロードやダートラリーで最も適応する。
緩やかな運転をする場合は、上記の特性は現れません。
これらの特性は、モータースポーツのような運転で顕著にあらわれます。